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 熊本空港は益城台地に位置する。隣接してテクノ・リサーチパークがあり、先端技術の研究・開発が進む。その一方で、周辺は昔ながらの畑作地帯。のどかな風景が阿蘇外輪のすそ野にひろがり新旧の対照を見せている。
 作物のなかで特産物として知られるのがカライモ(サツマイモ)だ。香山農場はこのカライモ一本にしぼった独自の取り組みで注目させる。栽培面積五十ヘクタール、生産量は年間千トン。コンピューター制御の貯蔵庫から常時出荷される。
 もちろんそのままであいしいが、香山農場では加工によって付加価値を高めている。無添加、無糖化の「焼きいもペースト」がそれだ。蒸しいもでは出せない焼きいもならではの味と風味がセールスポイント。菓子メーカー、パンメーカーなどから引き合いが増え、スイートポテト、芋ようかん、パイ、クッキー、まんじゅう、ケーキ等々さまざまに利用されている。カライモといえばやはり土の香りの素朴なイメージが強く、それがまた根強い人気の理由でもあるが、やはり見た目のちょっと不細工さは不めない。それをペースト化をすることでおしゃれなお菓子やパンへと変身する。
 香山勇一社長は「カライモがどう変わっていくか、実におもしろいですよ。だから当社は使い方を提案していく企画力が問われます。相手先と一緒になって商品を作り上げていく過程こそが当社の喜びなのです」と熱を込める。IT時代というのが、香山社長はお客さんと顔を合わせて話し込む。先方の要望やニーズをじっくり聞き込む。空港から五分の距離にある地の利も遠方のお客さんには都合がいい。お互い納得するまですり合わせる。

 カライモじゃなかばってんが土にしっかり根を張ってがんばっとります。
 「焼きいもペースト」はいわゆる一・五次産品。業務用が主体でPB商品として活用されている。一方で自社ブランドの開発にも意欲的。ヒット作の一つが"レンジでチン"のいきなり団子。熊本の懐かしい味がどこでも手軽に味わえる。またネーミング「おらの畑のからいも」は懐かしいもと焼いもの二種類があり、こちらも同様にレンジでOK。
 そのあらの畑のからいもだが、品種名を「高糸14号」という。愛称「ほりだしくん」で親しまれ、熊本県でも特に力を入れて奨励している優良品種だ。ほこほこした口当たりが大変好評。ほかにも現在「からいもアイス」や「ムラサキいも酢」などを試作中。「コウヤマブランド」の多彩などは展開は今後ますます楽しみだ。
 子供たちにとってからいも掘りほどおもしろいものはない。香山農場では保育園の園児たちに開放して土いじりの楽しさを存分に体験をしてもらっている。将来的には観光いもほりも考えているが、貸し農園方式も都市と農村の交流を図るうえで選択肢の一つという。いずれにせよ、夢のある構想だ。でも、香山社長はいたって冷静。「私には農業へかけるいろいろな思いがあります。しかし〈思い〉と〈思いすごし〉は別です。法人化は平成三年のことでしたが、以来思いすごしにならないように気をつけて会社の存続に努め、地域社会のお役にも立つようがんばってきました」
 カライモだからというわけではないが、農業法人「コウヤマ」は大地にしっかりと根を張り、農業の新たな可能性に向けて着実な歩みへと踏み出した。
 
 
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